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奈良県立図書情報館(国立国会図書館サーチ10周年企画)

奈良県立図書情報館は、「まほろばデジタルライブラリー」「奈良県地域史料目録」からのデータ提供、ゆにかねっとのOAI-PMH連携と、広く国立国会図書館サーチ(以下、NDLサーチ)にご協力いただいています。
今回、NDLサーチが開発版の公開から10周年を迎えたことを記念して、NDLサーチの公開時から深く関わっていただいている、奈良県立図書情報館の川畑様と同志社大学の原田先生に10年を振り返る対談をお願いしました。
(2020年9月15日実施)




原田:奈良県立図書情報館とNDLサーチの関わりは2011年にさかのぼることになるでしょうか。最初の連携はPORTA(※)で、PORTAの国立国会図書館サーチへの統合後も引き続き連携されています。もう10年も前のことになりますね。奈良県立図書情報館としてはPORTAの時から川畑さんが中心的にご担当されていた印象があります。
※国立国会図書館デジタルアーカイブポータル「PORTA」、2007年10月公開。NDLサーチ公開後、NDLサーチに統合された。

PORTAトップ画面
PORTAのトップ画面(画像はインターネット資料保存収集事業(WARP)より)

川畑:PORTAからNDLサーチに変わった時は、一体何ができるのだろうと気になっていました。PORTAは一次資料があるデジタルアーカイブの検索でしたが、NDLサーチでは総合目録として紙資料も一緒に検索できるようになりました。当初は、NDLサーチの中で提供データが埋没してしまい、一次資料が見づらくなったかなとの印象をもちました。が、慣れればなんともない。連携先も充実し、使いやすくなったように最近は感じています。


原田:奈良の方も、PORTAとの連携時にシステム更新をされましたか?

川畑:特に何もしていません。当時は、古典籍と絵図とはCSVで連携していましたので。毎年何かしらシステム的なことができるように、予算は組んでいますが。

原田:奈良県は対応が非常に早い、という印象があります。機動力がある組織はやはり違いますね。

川畑:国会図書館と違って小さな組織なので、動きやすい部分は確かにあります。


原田:10年前から比べて、今のNDLサーチはどうでしょう?

川畑:ずっとは見ていないのですが(笑)。司書業務を担っているわけではないので、日常的には使っていません。ただ、今回インタビューを受けることになって改めて見て、こんなこともできるようになっていたのだなと。

原田:川畑さんが見なければならないときは、トラブルがあった時が多いでしょうし(笑)。開発版の時に実装していたが、正式公開時に落とした機能はいろいろとあります。例えばキーワードの入力補助。性能に影響が出たので、確かそのタイミングで一度川畑さんにもお聞きして、(検索が)速い方がよい、という意見をいただいたりしました。

NDLサーチ開発版トップ画面
NDLサーチ開発版のトップ画面(画像はWARPより)

原田:NDLサーチができる話を最初に聞いたのは、ゆにかねっとの流れでしたか?

川畑:ゆにかねっとの説明会で聞いた記憶があります。当時は、NDLサーチのような統合検索サービスで、ふわっと検索してファセット等で絞り込む流れには抵抗があった印象がありますね。

原田:図書館の方には、そういう仕様に抵抗が強かったかもしれない……。

川畑:慣れでしょうね。図書館スタッフは、なるべく利用者を待たせたくないのもあって変化を嫌う部分があると感じます。今となっては、奈良県立のOPACも絞り込みの方向に変わったので違和感はないです。振り返ってみると、インターフェースの変更は、国会図書館は早かったなと思います。蔵書検索もデジタルアーカイブも、検索してファセットで絞り込む形。そういう意味ではいずれも簡易検索で十分ではないかと感じています。



原田:奈良県側でもシステムには大きな変更があったでしょうか。

川畑:うちは図書館パッケージを更新したのが今から3年前になります。蔵書検索もデジタルアーカイブも、LIEMDIOとE-Cats Libraryという2つのパッケージで動かしており、LIMEDIO側が作ったデータを夜間バッチでE-Cats Libraryに連携させています。導入に当たっては、E-Cats Libraryを、公文書や古文書のアーカイブズ資料が格納できるように、階層構造の管理ができるよう、改修してもらっています。

奈良県立図書情報館トップ画面
奈良県立図書情報館トップ

原田:NDLサーチとデータ連携をした効果、何かしら反応はありましたか?

川畑:NDLサーチとの連携に限った影響は分かりませんが、当館のOPACのアクセス数自体は減っている一方で、 書誌詳細画面への直接アクセスは増えています。当館Webにアクセスして蔵書を検索するのではなく、データ提供先であるNDLサーチや検索エンジンから直接アクセスするユーザーが増えている印象があります。

原田:アクセスの導線が変わってきているということでしょうか。

川畑:リンク先である書誌詳細画面の利用は増え、逆に、個々の図書館が提供する検索窓の利用は減っているのかなと思っています。

原田:導線がそのように変わっていくと、資料の利用にも何か影響はありますか?

川畑:これまで利用が少なかった資料へのアクセスがあったりして、利用自体は増えていると思います。サイト毎の検索ではなく、NDLサーチのようなサイトで色々なデータベースを統合検索すると、同じ資料が複数のデータベースで見つかり、利用者は一番適したサイトを選択することができますね。

奈良県地域史料目録トップ画面
奈良県地域史料目録

まほろばデジタルライブラリートップ画面
まほろばデジタルライブラリー



原田:「まほろばデジタルライブラリー」の公開が2015年。PORTAの時はエクセルファイルでデータを提供してもらい、NDLサーチはそれを移行したデータを提供していました。その後、2018年にデータ連携をOAI-PMHへ切り替えています。OAI-PMHにしたことでデータ提供の面で楽になった部分はありますか?

川畑:差分をとってもらうのは楽になったと感じます。更新データは、NDLサーチがリクエストして反映してくれるのでメリットはあります。アーカイブズの目録は、図書の目録と違って、解題を書くこと=記述(Descrption)だったりします。なので、目録が日々研究、調査により更新されるので、OAI-PMHのような差分更新がとても助かります。

原田:それなりの効果はあったということですね。OAI-PMHへ切り替える際の調整はスムーズに進んだでしょうか?

川畑:どちらかというとNDL側の対応に時間がかかっていたという印象があります。こちらの決裁や連携準備は終わっていて、待っていた状態でした。

原田:連携時に時間がかかる点。連携機関側から見てこうすれば早くできるのでは、ということはありますか?

川畑:外から見ているだけではわからないですね……。実際に調整が進み始めた時には、こちらが忙しくなって対応できなくなることもありましたし。


原田:連携作業の中でデータ変換は時間がかかる作業になっていると思いますが……。

川畑:こちらの内部のデータ形式からoai-dcに変換し、oai-dcからNDLサーチ側でDC-NDL(RDF)に変換する際に、どうしても情報が減ってしまうということはあったと思います。

原田:もう少し出したかった、というデータ項目はありますか?

川畑:データ形式を変換した結果、色々な情報が注記になってしまうという問題がありますね。

原田:DC-NDL(RDF)の語彙に不足があるということになりますか?

川畑:デジタルアーカイブを表現する語彙は不足があると感じています。

原田:デジタルアーカイブではない「奈良県地域史料目録」も項目の不足がありますか?

川畑:資料種別でしょうか。資料種別は館によって様々なので混乱しますね。

原田:他に、奈良県立図書情報館として、特に重要視している項目は何かありますか?

川畑:サムネイル画像のURLですね。国外からの利用を想定する場合、サムネイル画像の情報は必須だと思っています。

原田:サムネイル画像のURLは、DC-NDL(RDF)に項目がありますか?

NDL:あります。奈良県立図書情報館から出力いただければ、DC-NDL(RDF)の項目に格納し、NDLサーチでサムネイル画像を表示できます。

原田:サムネイル画像のURLの連携は、これまでほとんど実績がありませんでした。出版情報登録センター(JPRO)からの書影提供が始まってNDLサーチの表示割合が増え、最近はデジタルアーカイブでも提供例が増えているという状況です。

川畑:国外から見た場合、サムネイルがないものは見ない、となってしまいますね。資料がなんとなくこういうものだと分かるのと分からないのとでは違いが大きいと感じています。

川畑:後は、タイトルの英語表記と仮名読みとでしょうか。源氏物語は海外では「The Tale of Genji」でなく「Genji Monogatari」として認知されています。検索で引っかかるように、タイトル別名は格納しないといけないです。とにかく、データ提供元としては、利用者に探してもらえるようにデータを送りたい。とにかく、資料を発見していただくのが大事です。

※2021/3/29 NDLサーチにて、書影画像がサムネイル表示されるようになりました。
https://iss.ndl.go.jp/information/2021/03/29_update/



原田:他に、NDLサーチとの連携においての不満点はありますか?

川畑:不満点ではないのですが、ゆにかねっとについて。ゆにかねっとには貸出しができない禁帯出は出力しないのが当館の方針ですが、他の図書館ではNDLサーチに提供している事例が多々あるようです。このまま出力しない場合、NDLサーチで当館の禁帯出の資料が検索できず、利用者から、存在しない・所蔵していないと見える可能性があるので、当館内でも調整が必要かなと考えています。他にも、NDLサーチには最近は公文書館の資料も結構入っているようですね。これも当館では今、NDLサーチとの連携対象に含めていないので、提供した方がいいかなと思っています。公文書は国立公文書館と連携していればよいと考えていましたが、他機関蔵書と一緒に検索できたり、似た資料が同定されたりすると便利なので、NDLサーチにも出したいと思っています。

原田:そればぜひ提供いただきたいです。確かに、NDLサーチの各連携館からは、他の館がどのようなデータを提供しているか見えないという点がありますね。そういう情報を連携館に共有していくのはよいかもしれません。

川畑:他館が提供しているなら、うちもということに繋がる可能性はあります。

原田:出力範囲などは、連携時の初期調整の内容から長く変わらないことも多いので、その後の他館の傾向などをふまえて再調整をするタイミングを設けてもよいかもしれません。

川畑:特に、ゆにかねっとは、ILL(図書館間相互貸借)の延長で考えてしまっているので、貸し出せないものは出力できないという認識ができてしまっていると思います。

原田:そうすると、資料の存在そのものが見えなくなる可能性もありますね。



原田:奈良県立はオープンデータへの対応が早かった印象がありますが、こういうときの意思決定はどのようにされていますか?

川畑:当館は、メタデータには著作権はないと考えています。商用MARCではなくNACSIS-CATからデータ作成(コピーカタロギング、コピカタ)していたのが早くできた背景にあります。そのためにGOサインはすぐに出ました。MARCを購入していたら調整に時間がかかっていたと思います。

原田:その点、CATからのコピカタなので、メタデータのラインセンスは問題ないと。デジタル化されたコンテンツ、現物のライセンス処理はどのように進めていますか。

川畑:当館のデジタル化はパブリックドメインの貴重書が中心で、出版物をデジタル化しているわけではないので……。コンテンツのライセンスに関しては、国会図書館に頑張ってやってほしいと思っています。



原田:ここまで、10年を振り返って話を伺いました。今後についてもお話を伺わせてください。

川畑:先ほども出ていましたが、サムネイル画像URLの出力についてなど、連携開始時点から変わった点について連携後も連携機関とのコミュニケーションがもっとあれば嬉しいですね。

原田:例えば、年に2回くらい集まりましょう、などというのは応じられるものですか?

川畑:当館としては支障ないです。

原田:最近情報発信を増やしていて、連携機関向けのものも考えているところです。実際、連携機関の方へ、と発信して、見てもらえるものでしょうか?

川畑:それは人によって違うかなと思います(笑)。


原田:追加してほしい機能などはありますか?

川畑:ジャパンサーチとの連携がどう動いているのか、エンドユーザから見えないと感じています。他に、大学のデジタルアーカイブも取り込んでほしいですね。大学側からみると機関リポジトリ等に登録したデジタルアーカイブのデータをNDLサーチが収集してほしいと考えていると思います。その場合、データ形式は多くはJPCOARスキーマになります。DC-NDL(RDF)はデジタルアーカイブの項目が弱いので、JPCOARスキーマとDC-NDL(RDF)との間のデータ連携がうまくできるようになるといいです。大学図書館側はそれを求めていると思います。


原田:公共図書館としてはどうでしょうか?

川畑:アグリゲータ、連携・データの集約をどこがするのか、という問題があります。

原田:個人的には、奈良県内なら奈良県立かなと思っているのですが。

川畑:奈良県内を束ねるという計画はありません。カーリルの仕組みで県域の横断検索は実現していますが、それ以上の連携はなく、実際、少なくとも奈良県では県が市町村を束ねる(県が市町村の負担をする)というと、予算はつかないと思います。

原田:アグリゲータのレベルをそろえるのは難しい問題ですね。


原田:NDLサーチだからやってほしいこと、例えば連携を広げる範囲はどうでしょうか?

川畑:十分だと思います。ただ、連携を広げる範囲でいえば、図書に限らず、美術館博物館の資料も検索できるようになればよいかとは思います。それは、ジャパンサーチでという話なのかもしれませんが、大学との連携になると必ず出てくる話だと思います。例えば大学の博物館資料など、図書館資料と一体化してデジタルアーカイブで提供しているところがあります。


川畑:他には、先ほども出ましたが、ジャパンサーチとの連携が見えづらいと感じます。また、NDLサーチから、実証実験(ジャパンサーチ試験版※)の段階からの延長でそのままジャパンサーチと連携ということになると、ジャパンサーチとの連携に関しては許諾書もないため実績のアピールにならない点も課題かと感じます。あと、NDLサーチには、ハーベストされた情報を提供館側で、参照したり、登録エラーを確認したり、編集できたりする機能がなくて、また、提供したメタデータが、書誌同定により、NDLのOPAC等のメタデータにおきかえられたりするので、メタデータが見えにくいんですよね。自館のデータを自館で参照、編集できる機能がほしいですね。何をするにしても、NDLにお願いしないといけないのは、面倒ですし、NDLのスタッフも大変だと思います。
ジャパンサーチは、試験版の公開を経て、2020年8月正式公開した。


原田:奈良県立としては今後どうしたいと考えていらっしゃることはありますか?

川畑:ますは、公文書や古文書等アーカイブズのデータ提供ですね。ここ数年、毎年デジタル化を進めてきましたので。あとは、ローカルシステム側でのDC-NDL対応。館全体としては、コロナの影響があり、歳入減をどうおさえていくかという問題があります。ただ、新しいことは考えています。


NDL:本日は、10年を振り返りつつ様々なご意見をいただきました。NDLサーチの事業が、ご協力いただいている連携機関の方の実績につながり、最終的に利用者の方に様々な面で還元されるよう、今後も改善を進めていきたいと思います。今後の奈良県立図書情報館の動きも楽しみにしております!本日はありがとうございました。

                                                                                         
(参考)主な流れ年表
年度奈良県立図書情報館国立国会図書館サーチ
2007奈良県地域史料目録公開PORTA公開(10/15)
2008PORTAとの連携開始(2009/1) 
2009ゆにかねっとへのデータ提供開始 
2010 開発版公開(8/17)
2011国立国会図書館サーチ(本格版)との連携許諾(9/7)本格版公開(2012/1)
2012ゆにかねっとのデータ提供をOAI-PMHに切り替え(2013/2) 
2013システム更新(CMSE-catsメタデータ管理システム)(12) 
2014  
2015開館10周年(11/3)
まほろばデジタルライブラリー公開
連携拡張に係る実施計画を公開
2016  
2017facebookとTwitterの運用開始(7/15) 
2018まほろばデジタルライブラリーOAI-PMH切替え(3/29)
オープンデータとしての提供開始(3/29)
JPROとの連携強化、書影APIの提供開始
オープンデータ化が進む
2019ジャパンサーチで公開(6/3)ジャパンサーチへのデータ提供開始
2020 連携拡張に係る実施計画(2019改訂版)を策定(4/1)