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資料種別 記事・論文

十五世紀フィレンツェにおける〈子ども期〉について

前之園 幸一郎

詳細情報

タイトル 十五世紀フィレンツェにおける〈子ども期〉について
著者 前之園 幸一郎
出版年(W3CDTF) 1987-10-30
要約・抄録 中世の社会には子ども期という観念は存在しなかったとするP・アリエスの『〈子供〉の誕生』(杉山光信・恵美子訳、1980年、L'enfant et la vie familiale sous l'ancien regime seuil, 1960)は、子どもや家族の歴史についての新しい視点を提示することになった。この研究によれば、中世における子どもは物心がつく時期から社会の中にほうり込まれ大人と区別されることなく仕事につき、遊びに興じた。子ども期が意識されるようになるのは18世紀に入ってからのことにすぎない。アリエスは、子ども期が所与的に存るのではなく、それぞれの時代や社会的現実がその観念をつくりあげ時期区分を行うのだとした。アリエスによって始められたこの「子ども」ならびに「家族」についての研究から、やがて「歴史人口学」と「歴史人類学」の新しい学問分野が切り拓かれることになる。そしてそれぞれのアプローチによる家族史研究の成果は、わが国においても、『アナール』誌に発表された主要論文から成る『家の歴史社会学』(二宮宏之他編訳、新評論、1983年)やフランドランの『性と歴史』(宮原信訳、新評論、1987、Jean-Louis Flandrin, Le Sexe et L'occident, seuil, 1981)などからうかがい知ることができる。また、アリエスの問題提起の意義やその後の研究の発展と動向について論じたものに有地亨氏の『フランスの親子・日本の親子』(日本放送出版協会、1981年)などがある。ところでE・バダンテールは、アリエスの研究を承けて『プラス・ラブ-母性本能という神話の終焉-』(鈴木晶訳、1981年、L'amour en plus, Flammarion, 1980)の中で母性愛さえもつくられたものであるとした。18世紀のフランスでは里子に出すのが一般的な社会的風習となっていた。生まれてすぐのわが子を里子に出した母親が、その子が死んだことを知らされて、その原因をたずねようともせずに「これであの子も天使になって天国へ行った」と平然と述べた例を挙げながら、バダンテールは、この母性愛の欠如した母親の態度から今日の自己犠牲と献身をいとわぬ母親の態度がどのようにして生じたのかを問題にする。そしてこのプラスにもマイナスにもなり得る母親の愛を、彼女は『プラス・ラブ』と呼んだのである。アメリカではサイコ・ヒストリーの立場に立つ研究が行われロイド・ド・モース編著の『子どもの歴史』(The History of childhood, Lloyd deMause, 1974)があらわれる。これは心理学、歴史学、人類学など専門領域の異なる十人の学者によって総合的に「子ども期」を研究し歴史的にその内容を明らかにしようとするものである。その中でとくに注目されるのは、ド・モースによる「子ども期の進化」の視点である。それはアリエスへの批判を表明している。近代のはじめに「子ども期」が発明されることによって、それまで年齢や階層にとらわれることなく大人たちと一緒に幸福に生活していた子どもたちはそのような社会的交渉関係から隔離されて家族の中に囲い込まれることになった。それ以来子どもたちは自由を奪われ監禁され教育の対象としての存在になってしまったとする、アリエスへの批判である。ド・モースは、子どもの歴史はほんの最近になって悪夢から目覚めたようなものであり、その歴史をさかのぼればさかのぼるほど子育ての状態はひどいものであるとしている。そして古代から現代にいたるまでの子育ての歴史を図式化して概観している。それを宮沢康人氏の解説に拠りながらまとめると次のようになる。子育ての様相は歴史的順序としてまず子殺し的(Infanticidal)なものが見られ、ついで子捨て的(Abandoning)、対立感情共存的(Ambivalent)、侵入的(Intrusive)、社会化的(Socializing)、助力的(Helping)なものになって今日に及んでいる。子殺し的様相とはギリシアやローマの親たちが子どもに対する生殺与奪の権限をもち、自分の子どもを殺すことを公然と認められていた時代の子育ての特徴をさしている。中世にはキリスト教的信仰の一般化により公然の子殺しは抑制され、捨てることによって命だけは救おうとする子捨て的様相が見られる。そのために養育院や孤児収容施設が設けられるようになる。近世に入ると愛情と憎しみの入り乱れた対立感情共存的な子育てがあらわれる。ついで子どもの外面的しつけだけでなく親が心の内面にまで入り込み干渉しようとする侵入的子育てが18世紀にはすでに見られるようになる。19世紀以降になると親が社会の要請を自覚的に受け入れて子育てを行う社会化的様相が見られる。そして現代では子どもを自主的な主体として見なし、その独自の発達を援助する助力的子育てが行われているというのがド・モースの子育ての様相の進化である。もっとも彼は以上の様相はそれぞれの時代の主要な特徴であって、ある時代に重層的にさまざまな様相が同時的に共存していることにも注意をうながしている。
対象利用者 一般
資料の種別 記事・論文
掲載誌情報(ISSN形式) 03872947
掲載誌情報(URI形式) イタリア学会誌
掲載誌名 イタリア学会誌
掲載号 37
掲載ページ 76-101

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