1980年代半ばから2000年代半ばまでの20年間の、OECD加盟30カ国における、世帯所得およびその他の経済的な資源分配と格差の傾向を分析検討したものである。図表として、約50表、約70図が収録されている。第一部では、まず全般的な格差の特徴、世帯所得格差の比較を行っている。第二部では、格差の主な要因として、人口構造と世帯構造の変化、賃金と所得格差の関係、政府による再分配(現金給付と税制)の現状について分析している。第三部では、ある時点の所得に基づく分析と、貧困の継続性、所得では捉えられない物質的剥奪の指標(基本的なニーズ、基本的な余暇、耐久消費財、金銭的困窮、他人からの支援など)から、貧困の特徴を分析している。第四部は、格差のその他の側面に関する分析である。世代間の移動性、保健、教育、公営住宅といった公的な現物給付の効果、資産格差とその構造について言及している。第五部は結論で、特徴、人口学的要因、労働市場や政府の再分配の役割、今後の各国の政策設計についてまとめている。