1999年から2005年にかけて行われた、OECD加盟の17か国(オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ)における成人学習システムの調査結果をまとめた資料。「第1章 成人学習の促進―その形態と課題」では、成人学習の参加形態についての全体像が示されている。ジェンダーや年齢、教育達成、労働上の地位などの特性に焦点を当て、それぞれの参加の形態を考察し、参加率のデータを踏まえ、学習機会の格差を示している。「第2章 成人学習の利益の増加と促進」では、学習から得られる個人的報酬、経済的、社会的報酬を明らかにし、学習を動機づける方法を論じている。「第3章 成人学習への財政的支援」では、成人学習の機会を十分に保障するための財政融資の在り方を検討しており、企業を対象とした財政制度や、個人学習者に対する学習預金とバウチャー制度について解説している。「第4章 学習プログラムの提供と品質の向上」では、学習プログラムを提供する機関の学習条件についての分析結果を紹介している。「第5章 政策の共同決定と統一性の確立」では、教育・労働・福祉関係の省庁など、さまざまな利害関係者が複雑に関わっている成人学習において、無駄や重複を避けるための政策上の工夫や協調体制の必要性を示唆している。巻末には、参加率の定義と測定方法、国別の成人学習に対するアプローチを示す表(目標、成人教育の内容および形式、財政など)、用語解説を付す。