微生物は生物遺伝資源として、また、再生産可能資源として重要であり、特に地球環境維持・保全にとって果たす役割は大きく、基礎研究から産業利用まで幅広い分野で応用されている。微生物の研究領域は生物多様性、環境保全、バイオテクノロジー、感染症、バイオテロなどに関連する多くの領域を包括するため、その確保や整備がライフサイエンス及びバイオ産業の発展のために必要とされている。また、新規微生物の収集・保存・提供を行い、微生物学の基盤的な業務を実施する微生物保存機関の整備・強化が急務となっている。本書は、微生物資源の国際戦略実務のためのガイドブックである。 ; 「第1部 微生物資源とは」では、微生物の概要のほか、微生物資源を新規細菌種・遺伝子・病原微生物遺伝子のデータベースからとりあげて分析している。「第2部 微生物資源の宝庫」では、①生体内・自然環境等の生態系に見る微生物資源と②感染性微生物、抗生物質(生物活性物質)、トキシン、バクテリオシン、プロバイオティクスなど活性の高い微生物資源について解説している。「第3部 微生物資源確保に向けた戦略」では、生物多様性条約下での国際微生物戦略や日本の微生物資源戦略に関する解説に加えて、微生物資源確保に向けたアジアや欧米などの国際戦略の取組みも紹介している。「第4部 微生物国際戦略における微生物保存機関の役割」では、日本の微生物保護機関の役割や微生物資源取扱いのルールなどを解説している。