本書は、1996年に初版が発刊されて以後、1999年に、同年制定された「感染症の予防および感染症の患者にたいする医療に関する法律」(「感染症新法」)の解説を盛り込んで改訂が行われたが、今回更に全面的な見直しにより再度改訂され、『新版・感染症マニュアル』として出版されたものである。 新版は旧版と同様に全6章より成り、種々の感染症とその治療法のほか、海外旅行先(国別)での感染症の現状や注意点、感染症関連法制などについて記述するものであるが、特に第2章「主な感染症の症状と治療法」では、従来のA型肝炎に加えて、最近日本国内においても常在することが明らかになったE型肝炎ウイルスによる急性肝炎や、2001年の米国バイオテロ事件で注目を集めた炭疸とその感染源、また21世紀の初頭に目的達成をめざすポリオ根絶計画の進展状況、新興感染症として注目されるBSE等のプリオン病、胃十二指腸潰瘍や胃癌を引き起こすピロリ菌感染、アフリカからアジアに感染拡大の中心が移行しつつあるエイズ等々について、現状に即した加筆・訂正が行なわれている。また、第3章の「院内感染の原因と対策」も、現在の医療機関が直面する感染防止対策上の基礎知識と基本的留意点につき、新しい薬剤耐性菌出現の動向をも含む問題点を整理して、全面的に改訂されている。 巻末に参考文献リストのほか、検査・薬剤・ワクチンや病原体等の索引を付す。